OpenMediaVault6 (OMV6) で作る PC1台 24TB RAID Z システム【Part 2】

Linux Debian Base の OpenMediaVault 6 (以後 OMV6) で RAID Z 、RAID Z2の NASを実現します。今まで OpenMediaVault 5 (以後 OMV5) を使っていました。以前にOMV6 を実験的に使った時は “使いにくいなっ!” と思ったのですが、今回 使ってみて、その改善ぶりに驚きました。折角ですので、OMV6 を使って簡単に RAID Z (PC 1台 Disk4個) を実現できる、細か目の説明を致します。なお、PC は ヤフーオークション等で 1~1.5万円程度で落札できる HP Micro Server Gen8 (以後 HP Gen8)を使います。また、説明にはOMV5 の時に使った資料を再利用しますので、OMV5の記事も読んで重複してる部分は、まあ笑って許して下さい。この記事では PC1台でRAID Zを 次の記事では PC2台連携で RAID Z2 を実現します。(既にRAID Z2 PC + iSCSI PCで実現済み、Disk8個 = Disk4個 + Disk4個 使用、実動中)

Part2 ではOMV6 で RAID Z (記録容量 8TB x 3 = 24TB エラー訂正分 8TB x1 = 8TB (計 8TB x 4)) を実現します。

鈴木のOMV6 ベースセット

変な章名ですが “鈴木のOMV6 ベースセット” を今後 OMV6 で幾つか展開する NAS のベースとします。”鈴木のOMV6 ベースセット”から少し変形したり、付け足したりしてシステムを展開致します。

あと、Part1 では iLO の IP アドレスが 192.168.12.xx をベースに色々展開しましたが、Part 2 では BBルーターを変更しましたので、 192.168.11.xx を ベースに展開致します。既に一部のシステムを OMV6 で運用中で、iLOアドレス 192.168.11.20 と 192.168.11.120 は使用中なので、この記事の iLOの IPアドレスは 192.168.11.30 にします。まずは、 “鈴木のOMV6 ベースセット” を作って行きましょう。

OpenMediaVault6 (OMV6) インストール

OMV6 インストーラー をダウンロードします。ISO 版をダウンロードして 最初に DVDシュミレーションUSB メモリー を作成します。実際のインストールは 16GB以上 のUSBメモリーに行います。メモ参照。

【OMV 6 インストーラー ISO版について】ISO版なので、DVD ROM等を焼いてインストールでも良いが、よりお手軽に Rufus でDVDシュミレーションUSBメモリーを作る。
【OMV 6 をUSBメモリーにインストールすると..】USBメモリー等のFlashメモリーにインストールしての常時動作は推奨されない。USBメモリーを使って、1年で動作不良になった等の声がある。常時読み書きする内容があるらしく、フラッシュメモリー常時読み書き動作は短期間で不良となる。読み書き回数を減らす為、プラグインにてRAMディスクが用意されているので、RAMディスクを利用します。
USB メモリー16GBも必要なの ?】以前、筆者が使用したDebian Linux はSwap領域を確保するアルゴリズムが入っていたが、OMV6 では、どうやらそれは入っていない様である。16GB で問題なくインストールできる。もっと少なくしても良いかもしれないが、USBメモリーは大容量でも安価なので容量縮小の意味は少ない。どこまで小さくできるかは試していない。筆者は最近は16GBを便利に利用している。
それでは、OpenMediaVault ホームページから ダウンロードしましょう。
Download → Get the latest sable version → openmediavault_6.0.24-amd64.iso (ISO / 64bit版)
実はこのバージョンは最新ではありません。でもインストール後に update, upgrade などソフトの更新を繰り替えすと最新になります。
25. April 2023 時点 で openmediavault 6.3.10 と Blog に有ります。
ダウンロードしたら、Rufus を使って ISOイメージモードで書き込みます。USBメモリーは4GBを使いました。
USB起動は 外部ドライブ優先にしたので、今作ったインストールUSBを外部【裏面のUSB端子】に刺して、16GB の USBメモリーは内部の USBポートに刺します。インストーラーがUSBメモリーに書き込む際にフォーマットによっては拒否する事があるので、16GBのUSBメモリーは FAT32 でフォーマットして置くと良い。まあフォーマットしなくても拒否されなければ問題ないです。Rufus でもブートの種類を 非ブート用に設定すれば、FAT32でフォーマットできます。
AC電源を接続、NICとiLO4 をネットハブへ接続して、Power ON します。ライセンス未購入の人はインストール中に頻繁に接続が切断されるが、気にせず再接続して続きを行う。OMV6 が動作すれば、表示はWeb で出来るので、Remote Console を使わなくてもよくなります。
順次画面が進んで、インストーラーが立ち上がって、Remote Console に
この画面が表示されれば正解。OMV5 の時とよく似ていますね。インストール方法も殆ど同じ、これ以上細かく書くのは失礼なので、要点だけ 、まず、install を選んで ENTER。次の頁で言語を日本語を選びます。以降殆ど Enter のみで行けます。root のパスワードを決めるインストールするUSBメモリーを選ぶ書き込み選択する。位を実際に選びます、まあ画面を見ていれば大体わかります。ダウンロードサイト等はデフォルトで問題ありません。
画面がどんどん進んで最終画面でインストールUSBを抜いて、続けます。
少し待つと自動的にリセットされて、OMV 6 が実行されます。
画面がここまで来たら実はOMV 6 が立ち上がっています。インストール終了です。

HP Gen 8 の バグ修正

ここで、従来はなかったHP Gen 8 特有の修正が入ります。バグ自体が、この画面が使えなくなる物なので、この画面で login して 修正しても良いし、もしやり辛いなら、OMV 6 のWeb 管理画面を立ち上げてから SSH で繋いでそちらでも修正できます。

では、この画面で修正してみます。root で login してから 画面を英語表記にして (英語表記にするのはこの画面で漢字が使えないからで、修正の本質には関係ありません。)
# export LANG=c
# nano /etc/default/grub

で、grub の内容を編集します。

GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="quiet"
を探して編集
GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="quiet intel_iommu=off intremap=off"
として、セーブ。
# update-grub
を実行。次に、再起動を 2回行います。これで、バグ修正完了。

OpenMediaVault6 (OMV6) 設定

ここからOMV6 の設定をしていきますが、続きで 簡単に最初の update, upgrade しておきましょう。ここでしなくても、管理画面内でもできますが時間がかかります。もう一度 root で login

# export LANG=c
# apt-get update
# apt-get upgrade
を実行します。途中が何度か質問が来るので私は画面の様に答えました。
No configuration  <ok>
default=N → N   default=N → N
upgrade が終わったら、IP アドレスを調べて  OMV6の管理画面 に入ります。
画面は既に日本語になっていますが、本来は英語です。 User : admin     Password : openmediavault
 OMV6 管理画面で右上 ギアのマーク(Setting) → Language → 日本語 で日本語になります。
ここで幾つか設定を行います。
システム → ワークベンチ → 自動的にログアウトを無効
で 保存 → 適用 → Confirm → はい (以下 省略する)
システム → 日付と時刻 → タイムゾーンを日本にする。
ネットワーク → 一般 → ホスト名をopenmediavault → openmedia-31 に変更
ネットワーク → インターフェース  eno1を以下の様に編集して保存

 IPV4
  メソッド     : スタティック
  アドレス     : 192.168.11.31
  ネットマスク : 255.255.255.0
  ゲートウェイ : 192.168.11.1

 高度な設定
  DNSサーバー  : 192.168.11.1

一旦 ログオフして 192.168.11.31 で ログインする。以降、192.168.11.31 でログインします。

システム → アップデート管理 → アップデート → アップデートのインストール

 

SSH端末を開いて下さい。コマンドマニュアルを導入します。英語も日本語も。

# apt-get install man
# apt-get install manpages-ja

OpenMediaVault6 (OMV6) 外部プラグイン追加 & RAMディスク導入

ここで少し休憩して、プラグインを眺めて見て下さい。今後、プラグインで、フラッシュメモリー(USBメモリー)に関連してRAMディスク、RAID Z,RAID Z2 ディスクに関連してカーネルの入れ替え、iSCCI ディスク、ZFS (RAID Z,RAID Z2)ディスク 機能の拡張をしたいのですが、眺めた所 それらしい物がみつかりません。実はこれらの機能は外部プラグインなのです。外部 / 通常の違いが良く分かりませんが、追加 致します。

https://github.com/OpenMediaVault-Plugin-Developers/packages から導入しますので、SSH 端末を開いて、README.md の指示に従って

 # wget -O - https://github.com/OpenMediaVault-Plugin-Developers/packages/raw/master/install | bash

もう一度、プラグインを眺めると、欲しい物が増えていますね。よかった、よかった。それでは、早速 RAMディスクを導入します。SSH 端末で # df を見て置きます。導入後に再確認します。OMV6 管理画面で

システム → プラグイン → openmediavault-flashmemory x.x を選んでインストール

インストール済み になりましたね。# df を見ると、folder2ram の項目が見えます。OMV5 時に比べて導入が簡単になりました。

StartUptime.service 導入

スタート時に実行する StartUptime.service を作成。以下の内容を /etc/systemed/system/の下に置きます。このサービスはスタートアップ時 ( =graphical.target が実行された直後) に StartUptime.sh を実行します。

[Unit]
Description = 通電時処理
After = network.target

[Service]
ExecStart = /sbin/StartUptime.sh
Type = oneshot

[install]
WantedBy = graphical.target

StartUptime.sh を以下の内容で作成。 /sbin/ の下に置きます。実行フラグを忘れずに付けます。今はスタート時間を StartUptime_log に記録するだけです。これにスタート時に実行したいコマンドを追加できます。

#!/bin/bash

PATH1=$PATH
PATH=/usr/sbin:/usr/bin:/sbin:/bin

date > /var/log/installer/StartUptime_log

PATH=$PATH1

StartUptime.service をテストしておきましょう。SSH 端末で StartUptime.service を enable にして置きます。

# systemctl enable StartUptime.service

/var/log/installer/StartUptime_log を有れば削除して再起動します。再起動後 StartUptime_log を確認して下さい。起動時間が書き込まれていれば OK です。

これで、鈴木のOMV6 ベースセット” 作成完了。以降、これを色々展開します。

RAID Z を構成する

“鈴木のOMV6ベースセット” を使って RAID Zを構成していきます。

Kernel 入れ替え プラグイン 導入

本来プラグインは機能の拡張用ですが、このプラグインはKernelを入れ替えするだけではなく、他の機能の拡張もします。今回は Kernel 入れ替えしか使いませんが、他の機能も見て置くと参考になります。カーネル入れ替えは二段階でやります。最初に Kernel 入れ替え用プラグイン をインストール。次にプラグインを使ってカーネルを入れ替えます。

途中で画面が追加、変更されない場合は、都度ログオフしてログオンすると良い。

システム → プラグイン → openmediavault-kernel x.x.x を選んでインストール
  システム → カーネル → Proxmox(画像) → Install Proxmox kernel x.x (最新)
  システム → カーネル → Proxmox Default を確認して Remove non-Proxmox kernels

ZFS ストレージ プラグイン 導入

ZFS (RAID Z, RAID Z2 ) 機能を追加します。

システム → プラグイン → openmediavault-zfs x.x.x を選んでインストール

システムアップデート

最後にシステムを最新にして置きます。

システム → アップテート管理 → アップデート → アップデートのインストール
この時点で ダッシュボードでシステム情報を表示したら 6.3.10-2 (Shaitan) になっていました。

ハードディスク装着 & 共有ホルダー作成

ここで、一度、Shutdown して、やっと ハードディスクを装着します。再度起動して、Web管理画面にはいります。ストレージをワイプします。クイックで十分です。
ストレージ → ディスク → sda - sde のハードディスク(USBは選ばない事) をワイプ x 4個

次にZFSのプールを作成して、共有ホルダーを作ります。

ストレージ → ZFS → Pools → +(追加) → + Add Poolで作成

 名前               : tank
 プールタイプ    : RAID-Z1
 デバイス      : sda - sde のHDD が表示されるのですべてチェック
 マウントポイント  : /zfs
 デバイスエイリアス : By ID
 shiftの設定  ashift value : 12
ストレージ → 共有ホルダー → +(作成) 私は以下にした

 名前            : RAIDZ-0
 ファイルシステム: tank
 相対パス        : RAIDZ-0/
 パーミッション  : Administrator: R/W, Users: R/W, Others: RO

SSH端末で  /zfs,  /zfs/RAIDZ-0 が作られている事を確認します。

ユーザー設定

ここは各人自由にユーザーを作って下さい。あとで SMB で Windows側からアクセスしますので、Windows側からアクセスする ユーザーパスワードも設定して置きましょう。
私は とりあえず Administrator を作りました。(Windows側から Administrator でアクセスする)

SMB設定

Windows側からアクセスする SMBを設定します。
サービス → SMB/CIFS → 設定 → (一番上の)有効にチェック
サービス → SMB/CIFS → 共有 → +(作成)

有効にチェック
 sharaed folder RAIDZ-0

 必要な機能にチェック default で良いが 私はゴミ箱を有効化した。
ここまでで、Windows から 共有ホルダ  RAIDZ-0 にアクセスできるはずなので、確かめて下さい。
これで、RAID Z システム 完成です。
Part 3  へ続く
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